ウェディングプランナーの荒井さやかさんのもとには、自分たちの希望がうまく伝わらないという新郎新婦の悩みが寄せられるという。その数は少なくない。新郎新婦も結婚式場の担当プランナーも一生懸命なのに、ふたりが望む結婚式からかけ離れてしまうという状況は、実は珍しくないらしい。原因はなにか? それは、結婚式の打ち合わせの場合、イメージやニュアンスを伝えることが多くなることにある。言葉の行き違いがおこりやすくなってしまうのだ。また、そもそも希望を言葉にできていないケースもある。やりたいことや理想は頭のなかにあふれているものの、それを伝える術を知らないカップルがいれば、違和感を感じながらも解決策を見いだせず、担当プランナーとの打ち合わせをかさねるカップルもいる。
いずれにしても重要なのが、想いを言語化すること。ふたりの想いや、頭のなかに描いたイメージを、伝えたい相手にきちんと伝わる言葉にする必要がある。違和感をきちんと言葉にして説明できなければ、いつまでもモヤモヤは解消しない。そこで荒井さんの出番となるが、あくまでも彼女は「翻訳家」だ。カップルと会場プランナーの間に入って通訳することも、打ち合わせに同席して交渉することも、基本的にはない。それで、新郎新婦の悩みや不安は解消されるのだろうか。「しっかり想いを言語化できていれば、調整役としての私がいなくても大丈夫なんですよ」と、荒井さんは笑顔で答えてくれた。
荒井さんにSOSを出した新郎新婦が、最終的には自分たちだけで会場プランナーと上手にコミュニケーションをとるわけだが、どうしてそれが可能なのだろう? それは、荒井さんの「質問」に秘密がある。
荒井さんは、新郎新婦から相談をうけるとまず、なぜふたりの希望が会場プランナーに伝わらないのかを探る。会場側に希望が伝わらないという現象は同じでも、伝わらない理由はいくつかあるからだ。また、何を不安に思い、何に不満を抱いているのか、ふたりの話に耳をすます。一つひとつの問題を解きほぐしながら、ふたりの想いを整理する。WHICH診断のように、質問を投げかけては答えを引き出し、モヤモヤを解決していくのだ。その質問が優れもので、一つずつ答えていくと、「希望の言語化」「伝わらない理由の把握」「現状を打開する方法」が現れる。ここまでたどり着けば、もう心配ない。ふたりには、会場の担当者と交渉できるチカラがついている。なにしろ、自分たちで解決策を導き出したのだから。あとは実行すればいい。ふたりの希望が会場プランナーにきちんと伝われば、双方とも結婚式の準備が楽しくなるはずだ。そうなれば関係が良好になり、好循環がおきて、さらに楽しく準備を進められる。そういうふうに、望んでいた以上の結婚式が実現するのだ。
心にできたモヤモヤを解決した先にある、自分たちの希望どおりの結婚式。もし、晴れ晴れとした気持ちで結婚式を迎えることを望んでいるなら、荒井さんに相談するのに遅すぎることはない。
はい、友人の結婚式のプロデュースを荒井さんが担当していたんです。
(翻訳家WORKSの「コトリの止まり木」参照)
オリジナリティにあふれていて、
とても友人らしい結婚式で、夫婦もとても幸せそうで。
とにかく、ふたりらしい結婚式で、すてきだったんですよ。
それで、自分たちの結婚式もお願いしようと決めました。
実は、具体的な希望が何もなかったんです。
漠然と「お姫様になりたい」という想いはあったのですが、
着たいドレスも憧れている演出もこれっていうのが言えなくて。
それなのに、荒井さんはうまく質問を交えながら、
私の無意識の想いを言葉にして
「こういう結婚式をしたいんですよね」と
イメージできるようにしてくれました。
正式にプロデュースを依頼してからのカウンセリングで、
さらにそれを詰めていって、私たちのテーマが決まり、
結婚式ができあがったんです。
きっかけは、大好きな歌の話からでした。
FUNKY MONKEY BABYSの「桜」という歌なんですが、
私たちの思い出の一曲なんですね。
思い出というのが桜を見に行ったデートのこと、
退場の時に流したいと思っていること…、そんなふうに話が展開して。
荒井さんが、その歌を繰り返し聴いて、お花見デートの写真を見て、
私が言葉にできていなかった想いを感じ取って、「SAKURA wedding ~縁~」というテーマを提案してくれました。
そして「この歌詞にお二人の想いの全てがこめられていると思う」と荒井さんに言われて、更に納得しました。
私たちの思い出の「桜」と、結婚式に来てくださる方々に伝えたかった
「縁の大切さ」の二つがテーマだというのですから、納得しないわけがないですよね!
もちろん、「お姫様になりたい」という希望も叶いました。
出席者が300人と多かったこともあり、大スクリーンを2台用意して、
常に新郎新婦を映し出すという演出を考えてくださったんです。
荒井さんに同行してもらって選んだ、お気に入りのドレスを着た自分をスクリーンで見ていたら、
まるで芸能人になったような気分でした。友人たちにも「ずっと笑顔で女優だったね」と言われました。
主人が僧侶なので、私たちにとっては自然なんですよ。
あと、仏教の結婚式の考え方が、私には魅力的でした。
キリスト教の場合、神の前で永遠の愛を誓いますよね。
神前式は、神道の神々に両家の結婚を報告します。
仏前式も結婚を報告するのは同じです。
違うのは、ご先祖様に、ふたりが出会って家族になることを報告して、
その縁に感謝するというところ。そこが、いいなと思ったんです。
その縁をテーマにして式の準備を進める中で、
何度も縁について考えて、生んで育ててくれた両親、
見守り支えてくれた親族や友人たち…みんなへの感謝の気持ちでいっぱいになりました。
ご縁を大切に、ふたりで助け合って生きていきたいと思えましたね。
出席してくださったみなさんに「いい結婚式だったね」と声をかけていただいた時、
私たちの思いがしっかり伝わったんだなと感じました。
サプライズを用意しました。新郎新婦の入場で番傘を使ったんですが、
お色直しで中座する時、その番傘を私の両親に渡して、
6人一緒に退場したんです。
私の両親は35年前、結婚式で番傘を使って入場したかったのに、
できなかったらしいんですね。その夢を叶えてほしくて。
写真を見たら、親ともにとてもいい表情で、
娘としてうれしかったです。
中座の前、仏前式の様子をVTRで上映してから、
両親たちを結婚した日とあわせて紹介しました。
そして退場へという流れだったのですが、
披露宴の中で両親の結婚記念日まで紹介するというのは
めずらしいでしょう?
それも、荒井さんが縁をテーマに据えてくれたからこそ
出てきたアイデアです。
会場側との打ち合わせと、
司会者との打ち合わせに同行してもらえたことです。
「必ずコンセプトの伝わる現場向け進行表」を用意してもらったとはいえ、
私たちは素人ですから、荒井さんがいなかったら、
あそこまで満足いく結婚式になっていたかどうか…。
自分たちの希望とはいえ、
プロを相手にどこまで踏み込んで話をしてもいいのか迷って、
モヤモヤした気持ちを抱えることになっていたような気がします。
司会者の方との打ち合わせも、雰囲気にのまれて意見を言えずに終わってしまったでしょうね。
会場プランナーとして、フリープランナーとして、経験を積んでいる荒井さんがいてくれたからこそ、
自分たちの希望がきちんと伝わったと思います。
いくら結婚情報誌を読みあさってもわからないことも多いので、一つの会場だけではなく、
いろいろな会場やドレスショップのことを知り尽くしている
フリーランスという立場のプロにアドバイスしてもらえたのは、とてもよかったです。
結婚式当日の同行も安心感があって、私にとっては必要でしたね。
みなさんにお披露目することで、結婚して夫婦になったという実感がより強くなりました。
お互いの親戚や友人に顔を覚えてもらえて、新しいご縁が増えたことが、うれしいです。
荒井さんに相談して、私たちらしい結婚式ができて、本当によかった!
これから結婚する方たちも、ふたりらしさにこだわったほうが絶対に後悔しないと思います。
だからもし、「らしさ」にこだわりたいけれど、私たちのように具体案がないカップルは、
ぜひぜひ荒井さんに相談してみてください。
まるで友人との会話や世間話のような気軽な雰囲気のカウンセリングをとおして、
漠然とした想いをカタチに変えてくれますから。常に新郎新婦の心に寄り添って、
アイデアやアドバイスをくれるので、本当に満足のいく結婚式になると思います。

